はじめまして。「モータ制御のWeb教科書」の管理人のしょかと申します。

このブログは、モータ制御という一見とっつきにくいテーマを、高校生でも理解できるレベルまで噛み砕いて解説していくシリーズです。

数式を丸暗記するのではなく、「なぜその式になるのか」「日常の何とつながっているのか」というアナロジーや直感を大事にしながら、力学の基礎から始めて、最終的にはDCモータのPID制御まで、一本の線でつながった形で理解できることを目指しています。

社会人になると、覚えなければいけないことは山ほどあります。その中で、高校・大学で習った基礎理論を今さら一からやり直す時間はなかなか取れません。しかし現場で実際にモータ制御と向き合ってみると、結局モノを言うのは付け焼き刃の知識ではなく、基礎理論を「何が」「どうして」まで理解できているかどうかです。ここをないがしろにしたまま進んでしまい、あとになって悩んだり、苦労したりする人を現場で何人も見てきました。

このブログは、いわば「社会人のための制御工学基礎」です。モータ制御は扱う事柄が多く、一見複雑に見えます。しかし高校物理の基礎から一つひとつ積み上げていけば、恐れる必要はありません。実務に本当に必要な部分だけを、遠回りせずに理解できるように整理していきます。

本編を読み終えたとき、あなたは次のような状態になっているはずです。

  • F=maのような当たり前の式の意味を、根拠を持って人に説明できる
  • バネ・ダンパ・慣性といった要素が、力学・回転・電気の間でどう対応するのかを見抜ける
  • ラプラス変換やs領域の話を、必要最低限の範囲で怖がらずに扱える
  • DCモータのふるまいを、電気と回転の両方を含んだ一つの式でモデル化できる
  • PID制御の各項が何をしているのかを理解し、実際にゲインを設計できる

つまり、現場でモータの制御設計にいきなり放り込まれても、自分の頭で考えて手を動かせる状態です。これが、このブログの最終的なゴールです。

本編の間には、箸休め的なコラムも挟んでいきます。理論と理論の間で少し肩の力を抜いて読んでもらえたらと思います。

自己紹介

私は組込みシステムを扱う、アクチュエータ制御設計者です。
年は30代前半です。

私は新卒入社時から開発の部署に放り込まれましたが、周りのレベルの高さに圧倒され、何度も心が折れそうになった経験があります。
学生時代に制御工学を専攻してそれなりの自負はあったものの、配属されてから「これくらい分かって当然だよね」という空気の中で、何が分かっていないのかすら分からない状態からのスタートでした。

それでも辞めるという選択肢は取らず、基礎の基礎から一つずつ勉強し直しました。教科書を読み直し、先輩に聞き、手を動かして式を追いかけ、失敗しながら少しずつ「一人前」と呼べるところまで、なんとかたどり着くことができました。

その過程を振り返ったとき、「ゼロから制御設計者として仕事ができるようになるまでに、本当に必要だったことは何か」というのが、自分の中ではっきり見えてきました。そして、それをどこかに形として残しておきたいという気持ちが強くなり、この執筆につながりました。

このブログで題材として扱うのはDCモータです。数あるアクチュエータの中からそれを選んだのは、電気と力学の両方にまたがる知識の幅広さを一通り体験できるうえに、現在はもちろん、この先の未来でも幅広い製品で使われ続けるであろう重要なアクチュエータだからです。

このブログは、当時の自分のような、基礎で足踏みしている人に向けて書いています。難しい理論書の一歩手前、あるいは理論書を読んでもピンとこなかった人の助けになれば嬉しいです。

わかりにくい部分やご質問があれば、いつでもコメントやお問い合わせから遠慮なく教えてください。可能な限り、応えていきたいと思っています。